2010-01-01から1年間の記事一覧

「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学 集中講義」 ティナ・シーリング 高遠裕子訳 (2010) 阪急コミュニケーションズ

25年後のいま、私は将来を違う風に見ています。不確実性こそ人生の本質であり、チャンスの源泉だと。正直に言えば、いまだにどの道を行くべきか迷うときがあり、目の前の選択肢の多さにたじろぐことがあります。でも、いまなら分かります。不確実性こそが、…

「だから人は本を読む」 福原義春 (2009) 東洋経済新報社

要は、今いる私たちがどのように生き、どのように死んでいくのかということ。そしてそのために、本を書いた著者と向き合って、あなたがどのように生きて、どのように亡くなったのか、そして、あなたが人生でいちばん愛したものというのはどんな価値であった…

「教育の職業的意義−若者、学校、社会をつなぐ」本田由紀 (2009) ちくま新書

いまの日本社会が若者に用意しているのはこのような現実だ。それを作ってきたのも、それに手を拱いているのも、多くは若者たちより上の世代の人間たちである。このままでは、教育も仕事も、若者たちにとって壮大な詐欺でしかない。私はこのような状態を放置…

「『黄金の羽根』を手に入れる自由と奴隷の人生設計」 橘 玲 + 海外投資を楽しむ会 (2004 初版は2001) 講談社+α文庫

サラリーマンは、単なる税の仮払いにすぎない源泉徴収制度ではなく、プライバシーを公然と侵害し、国家や企業が土足で家庭に踏み込んでくる年末調整制度にこそ、怒りの声をあげねばなりません。「税金が安くなる」とほくほくしながら年末調整の書類に記入す…

反=日本語論 蓮實重彦 (2009 初版は1977) 筑摩書房

科学技術だの物質文明だのは、「二個の者がsameplaceヲoccupyスル訳には行かぬ」という命題から派生する皮相的な現象にすぎない。おそらく、開化日本の悲劇は、この根源的なるものの発見に無感覚で、それを一つの抽象としてしか理解出来ず、ひたすら二義的で…

「甘い生活 男はいくつになってもロマンティックで愚か者」島地勝彦 (2009) 講談社

「パパって面白い人なんだね」「おまえも面白いやつだよ」「今度生まれてきたら、パパと二人で暮らそうかな」「でも、ふたりとも浪費家だから大変だぜ」「そうね。わたしも浪費家だから、ふたりじゃ破産しちゃうかもね。やっぱりママが必要か。ア、ハハハ………

「中央公論 2月号 特集 大学の敗北」(2010) 中央公論社

(目次) こうした事例から示唆されるのは、大学はそもそも単独で、新しい知識の形成や流通、継承を可能にする最も基盤的なレベルたり得ないという事実である。大学よりももっと基盤となる層には、メディアとしての人という意味も含めた多種多様なメディアに…

「日本の科学行政を問う 官僚と総合科学技術会議」荒田洋治 (2010) 薬事日報社

黙々とひたすら修業を積んでいる人がいる。学ぶとは、辛抱に辛抱を重ね、アリのように努力することである。食いついたら離れない粘着力である。プロになる道は、肌で学んだことの固まりのような人になるための終わることのない道だと、私は信じている。能率…

「『空気』の研究」山本七平 (1983 単行本は1977) 文春文庫

みなはそうしているし、自分もそうすると思う。ただし、私はそれを絶対に言葉にしない。日本の道徳は、現に自分が行っていることの規範を言葉にすることを禁じており、それを口にすれば、たとえそれが事実でも、”口にしたということが不道徳行為”と見なされ…

「新しい労働社会―雇用システムの再構築へ」濱口桂一郎 (2009) 岩波書店

ただ、そのように見なすためには、大学教育全体の職業的レリバンスが高まる必要があります。現実の大学教育は、その大学で身に付けた職業能力が役に立つから学生の就職に有利なのか、それとも大学入試という素材の選抜機能がもっぱら信頼されているがゆえに…

「就活のバカヤロー 企業・大学・学生が演じる茶番劇」 石渡嶺司 大沢仁 (2008) 光文社新書

こうした学生が、大学で勉強でもサークルでも遊びでもアルバイトでもなんでもいい、何か打ち込んだことがあるかといえば、特にない。企業研究に一生懸命でもないし、日本経済新聞を読んでいるわけでもない。雑誌など、マンガと趣味の雑誌をたまに読む程度。…

「内定取消!終わりがない就職活動日記」間宮理彩 (2010) 日経BP

そして、労働相談情報センターでの話し合いから一ヶ月半ほどたったある日、担当者から「先方が折れて話し合いに応じてくれることになった」という連絡が入った。てっきり訴訟になるかと思っていたので、ほっとした。私に対しても謝罪文を提出する用意がある…

「マイクロソフトでは出会えなかった天職」 ジョン・ウッド 矢葉野 薫 訳 (2007) ランダムハウス講談社

マイクロソフトでは、「大きく行け、それが出来なければ家に帰れ」といわれていた。これこそ、何か変化を起こしたいすべての人に送るアドバイスの核心だ。今日の世界が直面している問題は、とてつもなく大きい。少しずつと言っている暇はない。時間と勢力を…

「課題先進国」日本 キャッチアップからフロントランナーへ 小宮山 宏 (2007) 中央公論社

私は、未来の課題に対して、自ら答えを出していくというときに肝心なことは、「基礎」だと思う。「理論」と言い換えてもよいだろう。過去は分析で足りるが、未来の洞察には基礎が不可欠だ。現実をよく把握して、基礎的にものを考えるという姿勢が非常に大切…

「ドイツ語のしくみ」 清野智昭 (2005) 白水社

昔の偉い先生が、数字の方が覚えやすいだろうということで導入した用語です。ただ、この本では主格-対格-与格-属格の順番で説明したかったのと、他の言語とのシリーズでもあるので、ドイツ語業界だけで通用する用語をなるべく使わないようにとの配慮から、数…

「高峰譲吉の生涯 アドレナリン発見の真実」 飯沼和正 菅野富夫 (2000) 朝日選書

「西洋ですでに十分に発達した工業を日本に導入しようというのであれば、その道で現にやっているベテラン技術者をヨーロッパから連れてくるのが最適だ。先人の跡を追うことをくだらない、などというつもりはないが、自分としては日本固有の産業や技術を掘り…

「コトの本質」 松井孝典 (2006) 講談社

我は初めからあるものではありません。我の形成途上にある人間には、我なんてないのです。しかし、いまの教育では前提として我があるかのように扱う。それが個人の尊厳だと誤解している―すべての間違いの元はそこにあると思います。我とは何なのか、そもそも…

「ビヨンド・エジソン 十二人の博士が見つめる未来」 最相葉月 (2009) ポプラ社

十二人の博士は、幼いころに自然という謎物語を読もうと志し、目下、読み進めつつある探偵たちだ。一人だけでは読了できないのかもしれない。自分が読んでいるページは、ずいぶん前に、いまや偉人と呼ばれる先人たちがすでに読み終えていて、ふと横を見れば…

「新・日本の外交 地球化時代の日本の選択」 入江 昭 (1991) 中公新書

いくら金融を自由化したり非関税障壁を取り除いたとしても、日本人の態度が排他的、国家至上主義的、あるいは例外主義的(自分たちをユニークだと見る気持ち)である限り、心理的文化的には国際社会から孤立し続けるであろう。(第六章「ポスト冷戦」の世界…

「日本の外交 明治維新から現代まで」 入江 昭 (1966) 中公新書

若い世代の歴史家その他の知識人、さらには政界、実業界などに身をおく人たちが、一方的なドグマや陳腐な説明に満足せずに、自らの力で明治百年の足跡を考えてみる必要がある。明治時代、大正時代に育った人たちの歴史観を、若い世代がそのまま受け入れなけ…

「近頃の若者はなぜダメなのか」 原田曜平 (2010) 光文社新書

こうした環境下、若者は24時間いつでもどこでも井戸端会議を繰り広げるようになりました。戦後、核家族化や都市圏への人口の流入、地域共同体の衰退、個人化・多様化が進行しましたが、ケータイが若者たちをつないだことで、こうした戦後の日本人の動きとは…

「7割は課長にさえなれません」城 繁幸 (2010) PHP新書

とはいえ、まだ人生の分岐点前の若手は転職すればすむ話だ。問題は、幹部候補選抜を過ぎてしまった40代以上である。彼らはこの先どうなるのだろうか。答えは「もうどうにもならない」だ。(第1章 年齢で人の価値が決まってしまう国 p-46) にべもない(w。…

「教育ルネサンス 大学の実力」 読売新聞教育取材班 (2009) 中央公論新社

「よいとこばかりを強調したり、遊びのような内容だったりの大学にはがっかりしていた。入学後の勉強がイメージできてよかった」と振り返った。バラ色のキャンパスライフだけを見せていても高校生の心はつかめない。(第六章 変わる大学選び p-296) 結局は…

科学力のためにできること Marshall, S.P.他 編 渡辺政隆監訳 野中香方子翻訳 (2008) 近代科学社

科学は社会の支えがあって進むことが出来る。過去五十年間にアメリカが蓄積した知識の大半は、プロジェクトや大学、研究者、企業あるいは個人に対する政府の援助によって実を結んでいる。インターネットも政府の資金提供を基に設計され、爆発的な拡がりをみ…

新 脱亜論 渡辺利夫 (2009) 文春新書

開発途上国の開発に資することは、現在の日本の最も重要な外交課題の一つである。「開発学」の原点を後藤新平たちの台湾開発の思想と構想の中に求め、日本に固有な開発の「学」としてこれを錬磨していかなければならない。(第7章 台湾割譲と近代化―日本の統…

日本の子どもの自尊感情はなぜ低いのか 古荘純一 (2009) 光文社新書

大人の知性や社会性を測って各国間で競わせる尺度などはありません。仮に作成し国際調査を企画したとしても、世界の国から協力を得ることは難しいでしょう。ところが子どもたちであれば、同じ尺度で比較することが容認される。もちろんそれが子どもたちの未…

劇的クリエイティブ講座 佐藤可士和 他 (2009) イーストプレス

自分たちの国を背負うとか、そういう大層なことじゃなくて、自分の持ってる、今まで影響されてきたものを土台にいかに新たな表現にしていくか。それを自信を持って堂々とやれば、みんな拍手してくれる、みたいな。(日本人の自分が持っているものを、ハイブ…

「知の鎖国―外国人を排除する日本の知識人産業」 アイヴァン・ホール (1998) 毎日新聞社

ベルツによれば、日本人は西洋科学の真の起源と本質を理解せず、新しい土地に簡単に運んで、同じように動かすことの出来る機械のようなものだと誤解しており、注意深く涵養した環境が必要な有機体だとは考えていないのだ。(第三章 学問の府のアパルトヘイト…

外国語学習の科学 白井恭弘 (2008) 岩波新書

なぜこの研究が重要かというと、もし、臨界期の原因が脳の構造によって決まっているのなら、同じ影響が全人類にあるはずであって、アジア系だけに年齢の影響があって、ヨーロッパ系にはない、という現象とはしっくりこない。(第2章 なぜ子どもはことばが習…