2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧
最高学府を出ながら、身の程を知る珍しい男だと柴三郎は思った。「ええ、遅鈍です。恃むところは辛抱強さしかありません」「きみはもしかして、謙遜してそうしたことをいっているのかもしれないが、細菌学を研究する上で最も大事なのは、辛抱強さだ。ゲドゥ…
演説の最後には、「真の日本の建設者は、私らの倒れたあと屍を乗り越えて進む無名の青年たちであることを信じて、今日の青年の奮起を絶叫しているのであります」と結ぶのを常にしていた。(生まれるのが早すぎた p-300) 久しぶりに親の家へ行ってテレビを見…
科学に対する信頼によっても、しかし私の厭世観はとり除けなかったばかりか、むしろ反対に、科学的な自然観の中に、厭世観を裏づける、新しい要素さえ見出すことになった。けれども、そんな心理的な状況下でも私を支えてきたものは、自分の創造的活動の持続…
ストーマとバルーンによる排尿は私にとっても生きてゆく気力を失わせるのに十分な苦痛と不便さでありました。(私の進行前立腺がんの軌跡 p-38) 人生の終盤にあって、このように病と戦いながら生きていく気持ちはどんなだろうかと思うといたたまれない。何…
これまでだったら大企業に就職したであろう者たちが、センスのない大企業を見捨て、もしくは、次の職へのステップアップのための踏み台程度にしか考えなくなっている。彼らには、役職よりも行動するセンスの方が重要なのだ。今や、彼らが求めるのは、「人生…
きっとまた、日本人は礼儀正しいとか、きめ細やかな配慮があるとか、そんな聞きなれたほめ言葉だろう。やれやれ……。ところが彼は次にこう言ったのです。「自分より恵まれない人たちに対するコンパッションがないってことだよ」私にとっては予想外の言葉でし…
二十代のころにはまだ難しいが、三十代、四十代以降になると、これまでの来し方を振り返ることが出来る。今までやってきたこと、できたこと、できなかったこと、できたことがすごくうれしかったこと、できたけれどさほど感動しなかったこと、できなかったけ…
多様性を理解し尊重する力は、多様な人々とコミュニケーションをした経験の積み重ねによってしか得ることができない。数人の友達とだけいつも一緒にいるという人は、あうんの呼吸でわかりあえる楽な人間関係の中に埋没していることになり、このような力は磨…
しかし、どうしてそうやって後ろ向きに考えるのだろう? 私たちのやり方を取り消すことはできない。私はすべて変化を目指してやっているのだ。変化の過程では、年を取った人は若い者に道を譲っていく。完全を目指すなら、年長者の考えを変えさせ、彼らを犠牲…