2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「コーヒーが廻り世界史が廻る 近代市民社会の黒い血液」臼井隆一郎 (1992) 中公新書

誰でも思いつきそうなことを実現できるかどうかは、熱意と根気の問題を別にすれば、だいたいはコネの問題である。当時、アムステルダムの市長がルイ十四世に贈ったコーヒーの木は王立植物園の温室にあった。マルリー城に届けられた翌日、パリの植物園に輸送…

「若者よマルクスを読もう 20歳代の模索と情熱」内田 樹・石川康宏 (2010) かもがわ出版

疎外論の出発点が「自分の悲惨」ではなく、「他人の悲惨」に触れた経験だったということ。マルクスは「私たちを阻害された労働から解放せよ」と主張したわけではありません。「彼らを阻害された労働から解放するのは私たちの仕事だ」と主張したのです。この…

「モーム語録」行方昭夫 (2010) 岩波現代文庫

二十五年間こういう僻地で何一つ心を煩わすことなくのんびり暮らした後では、毅然たる性格は失われるということだ。人間の意志は障害に立ち向かうことで強まる。意志が阻害されなければ、目標を達成するために努力を要せず、自分の手の届く範囲にあるものだ…

「社会学入門 をどう捉えるか」稲葉振一郎 (2009) NHKブックス

「モダニズム」とはあえていうなら、近代の「自意識」です。「自意識」という日本語が一番簡単に使われる文脈は、そう「自意識過剰」ですよね。「モダニズム」という言葉で指し示されるもの、「モダニズム」の潮流に位置づけられる芸術作品や研究業績を特徴…