2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「日本思想という病」芹沢一也、荻上チキ 編 (2010) 光文社

保守の一番の基礎のところは、人間の個人的な理性によって理想社会がつくれるという考え方に対する批判です。「そんなものは不可能だ、人間の能力の限界を直視せよ」という発想です。(1章 保守・右翼・ナショナリズム 中島岳志 p-20) 講演をテキストにした…

「一日一生」酒井雄哉 (2008)朝日新書

桜は咲くことで精いっぱい、「今年も咲きましたぞー」ってみんなに教えてくれているんじゃないって。来年はもっと良い花を咲かせようと思って、またがんばってくれているのとちがうかなって。桜がぼくにそう教えてくれたような気がしたんだよ。散ったからと…

「サウスバウンド」 奥田英朗 (2007 単行本は2005) 角川文庫

「小学生にはうまく言えないけど、働かないことや、お金がないことや、出世しないことの言い訳にしている感じ。正義を振りかざせばみんな黙ると思ってる」(下 p-163) 主人公の成長譚を軸に、「真の活動家」として描かれる父親の英雄譚まで。面白い。過去の…

「f植物園の巣穴」 梨木香歩 (2009) 朝日新聞出版

何が起こっているのか。/ 普通なら次次と過ぎ去って戻ることのない時間が、まるでここには吹き溜まっているようであった。私はそれの「理由」を考えた。省みるに私の場合、それを、古い時間の細胞を、始末する手段が通常の人人のそれと違っていたのだろう。…

「きつねのはなし」 森見登美彦 (2006) 新潮社

ベビーカステラの甘い匂いが鼻先を流れた。そこに奈緒子は立っていた。ふわりと夢見るような目で、夜店を眺めていた。彼女のぶら下げたハンドバッグの中から、繰り返し、鈴の音のような着信音が響いていた。(きつねのはなし p-71) 骨董をやりとりするとい…

「鴨川ホルモー」万城目学(2009 単行本は2006) 角川文庫

なんというか、男の子のための小説だなーという気がすごくする(w。まぁそれはさておき、学生の街、京都が舞台のプロットはとても懐かしく、楽しい。先の本もそうだけれど、学生時代にこういう「キャンパスライフはひょっとしてこんなに楽しい」的な話に蒙を…