「知の鎖国―外国人を排除する日本の知識人産業」 アイヴァン・ホール (1998) 毎日新聞社

知の鎖国―外国人を排除する日本の知識人産業
ベルツによれば、日本人は西洋科学の真の起源と本質を理解せず、新しい土地に簡単に運んで、同じように動かすことの出来る機械のようなものだと誤解しており、注意深く涵養した環境が必要な有機体だとは考えていないのだ。(第三章 学問の府のアパルトヘイト 外面だけの大学教授 p-169)
弁護士、ジャーナリスト、大学教員という「知識人業界」を例に、いかに日本人が「排他的かつ偏狭で、視野が狭い」か(E. サイデンステッカーの言葉 p-18)を喝破した本。深い意味で、おそらく正しい指摘だろう。それは「外国人と仲良くするかどうか」ということではなくて、そもそも彼らを「外国人の」と思わず括りだしてしまう、その根本的な姿勢を言っているのだと思う。こうして10年も前に指摘されていることからすれば、最近号のeconomist誌で、「日本が外国人に寛容だなんて、そんなわけないだろう」といった記述があるのも驚くにあたらない。もう「ばれて」るわけだ。"Japan passing"は、そういうところからくるのではないのか。(2010年1月2日読了)