「課題先進国」日本 キャッチアップからフロントランナーへ 小宮山 宏 (2007) 中央公論社

「課題先進国」日本―キャッチアップからフロントランナーへ
私は、未来の課題に対して、自ら答えを出していくというときに肝心なことは、「基礎」だと思う。「理論」と言い換えてもよいだろう。過去は分析で足りるが、未来の洞察には基礎が不可欠だ。現実をよく把握して、基礎的にものを考えるという姿勢が非常に大切である。問題は、優れた専門家は別だが、細分化した領域にひっそりと身を沈める専門家には基礎的に考えられる人が意外と少ないことだ。(第2章 二十一世紀の環境とエネルギーのビジョン p-121)
要は大半はダメだということ。既存のシステムに適合すればするほど、そうしたラディカルな問いを発することは憚られてしまう。前例がないということは、うまくいかないかもしれないということであり、それに注ぐリソースが無駄になってしまうかもしれないということだから。でも、メインストリームで戦っても勝ち目のない(その必要もない)我々こそが、そうした新しいアプローチを試せるポジションにあるとも言える。斜め読みだが、全体にそれほど目新しさは感じないし、何か確たる根拠が示されているわけではなく、この先生の思いが述べられているという感じ。上記のような姿勢には共感。(2010年3月6日読了)