2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

大平正芳 「戦後保守」とは何か 福永文夫(2008)中公新書

そこに大平のリーダーシップの欠如を見ることはたやすい。これに対し、彼は「政府が引っ張って行って、それに唯々諾々とついていくような国民は、たいしたことを成し遂げられない。政府に不満を持ち、政府に抵抗する民族であって、はじめて本当に政府と一緒…

もう、君には頼まない ― 石坂泰三の世界 城山三郎 (1995) 毎日新聞社 (文春文庫 1998)

「公定歩合を動かせば、政府の低金利政策は破綻したことになり、池田内閣に致命傷を負わせる。それでもいいのか」と、ある人に詰め寄られた。石坂は即座に言い返した。「池田内閣と日本とどっちが大事だ」 (温室の中 p-193)しばらく前に、(日本は政治三流…

「粗にして野だが卑ではない」 石田禮助の生涯 城山三郎(1988)文藝春秋(文春文庫 1992)

「年間五十億人という人命を預かる職は、金をもらってやるべきではない」 (若き兵士の如く p-23)晩年の描写からは、面倒くさい爺さんだと思うけれども、この国でまっすぐに、思ったように生きながら、社会的に成功し、尊敬もされる、ということが、ほんの…

強い会社は社員が偉い 永禮弘之(2008)日経BP社

一方、30代後半から40代のミドル(課長、部長層)は、今勤める会社に留まるとすると、あと20年くらいは、その会社で職業人生をおくることになる。この余命の長いミドルの中に、野々村さんのような、熱い志をもって改革を引っ張ろうとする人がいるかどうかが…

もやしもん 7 石川雅之 (2009) 講談社 

今回は味噌、食酢、みりんについて。ちょっと全体のストーリー的なものが意識されてきた感。 勉強が良くできる子の多い高校の方が、このマンガについて知っている割合も高かったそうだ。マンガの間でもそういう差があるわけだ。 (2009年1月読了)

この世でいちばん大事な「カネ」の話 西原真理子 (2008) 理論社

「どうしたら夢がかなうか?」って考えると、ぜんぶを諦めてしまいそうになるけど、そうじゃなくって「どうしたらそれで稼げるか?」って考えてみてごらん。 (「自分で「カネ」を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。」p-93) 「大人にな…

ネクスト・ソサエティ P.F.ドラッカー (2002) ダイヤモンド社

アメリカでは、企業家精神とはアイデアのことだと思っている。イノベーションとは研究開発、つまり技術のことだと思っている。しかし、企業家精神とは体系的な作業であり、イノベーションとは技術よりも経済に関わることである。 (起業家とイノベーション p…

学力と階層 苅谷剛彦 (2008) 朝日新聞出版

人的資本への利口な投資家は、それぞれに異なる労働市場でつけられる価値を見越して、学習の機会を選択する。生涯を通じて、人的資本への投資効率が最適化するように学習機会を選ぶことが、利口な人的資本家の振る舞いであり、そのような機会を見極め探して…

大学の授業 宇佐美 寛 (1999) 東信堂

このような無知・怠惰な学生たちに対して講義などしてはいけない。「講ずる」という方法に合うような抽象的・包括的な言葉を一方的に長時間与えていたら、学生はなおたるむ。受身になる。講義の言葉がどんな事実に対応しているかが分からない。なにしろ、対…

消える大学残る大学 諸星 裕 (2008) 集英社

ですから、最初の「大学の産物とは何か」という答えもここから導かれます。大学の産物、つまりプロダクト、製品というのは実は単位のことなのです。 (「大学は学生のためにある」p-188) ここだけ抜き出すと語弊があるが、論理は非常に明解だし、目指してい…

下流大学に入ろう! 山内太地 (2008) 光文社

お役所に、一流企業に入れれば安心などというのは、滅亡寸前の室町幕府や江戸幕府に就職するようなものではないか。 (Introduction p-15)たしかに(w。 blogの筆致で、内容も書籍としては首をかしげるところがあるのだけれど、まぁ、こういう本を作るとい…

迫るアジア どうする日本の研究者 理系白書3 毎日新聞科学情報部(2009)講談社

石井正道客員研究員は、「イノベーションの多くは、技術者が自分の専門と専門外の知識を融合させて生み出している。自発的に他分野に飛び込んで学習する能力のある人材と、長期間自由に試行錯誤が行える環境をそろえることで、画期的なイノベーションが生ま…