「教育ルネサンス 大学の実力」 読売新聞教育取材班 (2009) 中央公論新社

教育ルネサンス 大学の実力
「よいとこばかりを強調したり、遊びのような内容だったりの大学にはがっかりしていた。入学後の勉強がイメージできてよかった」と振り返った。バラ色のキャンパスライフだけを見せていても高校生の心はつかめない。(第六章 変わる大学選び p-296)
結局は新聞記事を集めたに留まる。「大学で何が起こっているか」を概観するにはよいが、議論は必ずしも深まらない。ジャーナリズムが大学教育に責任を負っているわけではないのだから、当然ではある。後半は斜め読み。初年度教育や「学士力」を扱った前半では、各地の大学教員が、彼らが予想だにしなかった学力・資質の若者の教育に四苦八苦しているさまに気が重くなる。子どもを躾ける親、さまざまな知識や能力を身につけさせる教師、その親や教師を育て支える社会。誰かが責任を果たさなければ、そのしわ寄せは必ずどこかに行く。「学校」教育と「社会」に挟まれた「大学」は、そのしわが寄りやすい場のひとつということだろう。(2010年2月2日読了)