2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧
男女の機微や人生知といったものがこれほど詰め込まれた小説を知らない。圧倒。三巻目の解説で津村記久子という作家が書いているように、ある種の「女の子のすべて」がここには書かれているのかもしれない。男とは何か、人生とは何か、いかに生き、いかに死…
三十数年続けてみても、米と水と酵母だけの世界というのは、広くて深くて底なしです。宇宙のようでもあるし、ほんとにわからない無限の世界ですね。酒造りというのは、化け物相手のようだ、と恐ろしくなることすらありますし、いまだに毎年、さあ、今年はな…
酒の評価基準に普遍的なものはなく、極論すれば、あるのは好き嫌いだけ。その蔵元の原料の選び方、造り方や味わい、保存の仕方やラベルデザインまで、結局のところは飲み手が、その蔵の姿勢を好きか、嫌いかではないか。(p-279 第九話 「磯自慢」寺岡洋司)…
漱石が、ものを書き、一冊の本にしたときに、編集者や装幀者や装画家がいて、本の全体を構成していき、そこにしかない書物の雰囲気をつくりだし、完成されたのだから、全集になって文字だけが並んでいるのを読んだだけでは、難解とされるだけだ。(肌 「なつ…