2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「自由に生きるとはどういうことか 戦後日本社会論」 橋本 努 (2007) ちくま新書

創造を求める人々は、わざわざ大きな美術館やコンサートホールに出向いて、すでに名声を得たアーティスト達の作品を鑑賞することを好まない。彼らはむしろ、「創造の過程」を目の当たりにするような、生き生きとした芸術体験を求めている。たとえば、まだ無…

「行きつけの店」 山口 瞳 (2000) 新潮文庫

こういうものを書き終わって、いま私の心に残るものは、意外にも“時の移ろい”である。あれが美味かった、あそこの眺めがよかったではなく、あのときのあの人の笑顔がよかったという類のことである。それは私の瞼に焼き付いている。私はそのことに驚く。(時…

「ザ・ベリー・ベスト・オブ『ナンシー関の小耳にはさもう』100」ナンシー関 (2003) 朝日文庫

テレビの見方というか機能の一つとして「動物園的役割」というのもあるわけである。檻の中の変わった生き物を見物する楽しみ。たとえその生き物が、こちら側の利益になる何か(労働や芸)をするわけではなく、ただ遊んでいるだけであっても。そう考えるとこ…

「乗り移り人生相談 ―柴田錬三郎・今東光・開高健、降臨!!」島地勝彦 (2010) 講談社

大僧正はよく「極上の暇つぶしをしなくてはあかん」とおっしゃっていた。そういえば、「人生は誰と出会えるか、その積み重ねでしかないんだよ」という言葉もよく聞いた。このひとの言葉をもっと聞きたい、その考えをもっと深く知りたい、そう思える人とどれ…

「現代日本の転機 「自由」と「安定」のジレンマ」高原基彰 (2009) NHKブックス

つい一〜二年前まで、「格差」が包括的な政治的議題になったことは、なかった。それまでずっと論じられていたのは、政党政治においてもメディア・論断においても、外交・安全保障や靖国、憲法、再軍備ばかりだったことは、忘れられるべきでない。(第四章 日…

「貧困の終焉 2025年までに世界を変える」ジェフリー・サックス 鈴木主税・野中邦子訳 (2006) 早川書房

この本のページをめくる未来の世代には、私たちがこの重大な問いにどう答えたかが分かるだろう。その証拠は、彼らのいる世界に見られるだろう。歴史が私たちを裁くだろう。しかし、それがどんな歴史になるかは、私たちの行動による。私たちがいったい何者な…