「ドイツ語のしくみ」 清野智昭 (2005) 白水社

ドイツ語のしくみ
昔の偉い先生が、数字の方が覚えやすいだろうということで導入した用語です。ただ、この本では主格-対格-与格-属格の順番で説明したかったのと、他の言語とのシリーズでもあるので、ドイツ語業界だけで通用する用語をなるべく使わないようにとの配慮から、数字で格を呼ぶやり方は採用していません。(「てにをは」のしくみ p-109)
言葉の習得に近道はないので、「分かりやすい」とはいえ、たくさんのことを覚えていかねばならない。しかしここにあるように、前例にこだわらず、ドイツ語文法の明快なシステムに寄りかかることもなく、初学者にとって最も理解しやすいであろう順序と説明で、「まず必要」とされるところに絞って解説する、というコンセプトは画期的であるように思える。前例に囚われず、自分で考えることが大切なのだという教訓。esで漠然とした状況を主語としたり、Guten Tagを対格として相手に与えることが挨拶だったり、といった点はまさに「ドイツ語の考え方」であり、(必ずしも使わなくても)外国語を学ぶ理由がどこにあるかを示している。さまざまな言語について読むと、何か見えてくるものがあるのでは。(2010年3月3日読了)