「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学 集中講義」 ティナ・シーリング 高遠裕子訳 (2010) 阪急コミュニケーションズ

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
25年後のいま、私は将来を違う風に見ています。不確実性こそ人生の本質であり、チャンスの源泉だと。正直に言えば、いまだにどの道を行くべきか迷うときがあり、目の前の選択肢の多さにたじろぐことがあります。でも、いまなら分かります。不確実性こそが、イノベーションを爆発させる火花であり、私たちを引っ張ってくれるエンジンなのだと。(第10章 実験的な作品 p-214)
特に目新しい考えが述べられているわけではないけれど、様々な例を挙げる語り口は分かりやすいし、端々に「光る言葉」が散らばっている。entrepreneurshipを教育するとは、いかに金儲けの種を見つけるかを教えることではなくて、どんな場面でも「コトを起こす」力を持った人間を育てるということなのだろう。いまやbest and brightestな若者は最先端の大学でそうした教育を受け、その力で、「社会で成功する」のではなく「社会を変える」ように促されている、というのはある意味衝撃である。それがひとつの普遍的な力であるとすれば、優秀な若者であればどこの国に生まれても「どうしてハーバードに行かないのか?」と考えるだろう。(2010年5月18日読了)