「内定取消!終わりがない就職活動日記」間宮理彩 (2010) 日経BP

内定取消!  終わりがない就職活動日記
そして、労働相談情報センターでの話し合いから一ヶ月半ほどたったある日、担当者から「先方が折れて話し合いに応じてくれることになった」という連絡が入った。てっきり訴訟になるかと思っていたので、ほっとした。私に対しても謝罪文を提出する用意があるという。うれしかった。これは、内定を辞退してしまった他の学生への謝罪でもある。(直接対決! p-173)
これが謝罪で済んでいいものなのか、正直疑問なのだが…。「事実は小説よりも奇なり」を地でいく内容には驚かされる。本題の「ブラック企業」(とはいえおそらくは名の通ったところなのだろう)の件もさることながら、その後の普通の就活での苦労も並大抵ではない。昨今企業側がここまで手を掛けて人選しているとなると、就職率が下がるのも無理はないだろう。所与の条件のもとで皆が無邪気に自己利益を追求する(正社員が既得権を守る)結果がこうなるわけで、やはり新卒一括採用とか、そもそもの流動性の低さといった前提条件が間違っていると考えるしかない。こうした本が日経BPから出たことに意味があるのではないか。(2010年3月14日読了)