2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「家守綺譚」梨木香歩 (2004) 新潮社

もの悲しいような熱のとれた風が吹いてくる。さすがに夕暮れにもなると、晩夏は夏とは違うと気が付く。(木槿(むくげ) p-54) その人は「本を読むと映像が浮かぶ」という。長年本を読んできたけれど、そのような読み方があるとは思いもよらずに、驚く。彼…

「人生は冗談の連続である。」 島地勝彦 (2011) 講談社

最近の週刊誌が面白くないのは、不寛容すぎるからだよ。むっつりと不機嫌で何でも道徳的に断罪するモテない男のような匂いが誌面から漂ってくる。そんなものを読んでいてもまるで愉しくないだろ。不寛容な人というのは、正直者である自分が損をしているとい…

「西の魔女が死んだ」 梨木香歩 (2001、単行本は1994) 新潮文庫

そして、そのとき、まいは確かに聞いたのだった。(p-191) もはや古典の域に入る名作だろう。子供の頃、このようにものを考え、感じたのではなかったか、と思わせる。そしてその裏側で、幼いころはなつくものの、成長すると自分のもとを去っていく孫娘を見…