2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

臨床家 河合隼雄 谷川俊太郎・鷲田清一・河合俊雄 編 (2009) 岩波書店

「人間力」と自分で読んでいたけれども、自分が関わることによって不思議なことが起こってくることには、相当な信頼と自信を持っていた。そしてそれは何よりも、何もしないことが、同時に激しさを秘めていることにも関係しているように感じられる。あまり表…

職業としての大学教授 潮木守一 (2009) 中公叢書

この長年のお手盛り人事が大学、学問の沈滞を招いてきた。しかも給与は国立私立を問わず、全国どこの大学に行ってもたいして変わらない。優れた研究成果を上げた教授もそうでない教授も、優遇もなければ制裁もない。これほどの悪平等はいったいいつまで許さ…

市民科学者として生きる 高木仁三郎 (2000) 岩波新書

これに対して武谷先生は、次のように言われた。「科学者には科学者の役割があり、(住民)運動には運動の果たすべき役割がある。君、時計をかな槌代りにしたら壊れるだけで、時計にもかな槌にもなりはしないよ」(第7章 専門家と市民のはざまで p-164) いわ…

東海村臨界事故への道 七沢 潔 (2005) 岩波書店

ヘリコプターの中で若い二人は携帯電話で自宅に連絡していたという。篠原氏は「今日は帰れないので子どもを病院に連れて行けない」と話し、大内氏も実家に預けている子どもを迎えに行けなくなったと話していた。(第4章 崩壊したJCOの安全管理体制 p-206) …

原子力と報道 中村政雄 (2004) 中公新書ラクレ

そう考えた私は、理由を挙げて「出力調整は技術的に不安なことではない」と社説に書いたところ、山のような投書と全国から非難の電話が二日間殺到した。投書には同じ文面のものがかなりあった。どこからか指令が出て書いたように思える。(第1章 原子力報道…

核兵器のしくみ 山田克哉 (2004) 講談社現代新書

筆者が言いたいのは、原発側と住民の信頼関係が確立しない限り、原発問題は容易に解決しないということである。そのためには、一般市民ももっと原子力の知識を深める必要があると思う。この本の趣旨はそこにある。(序章 原爆も原発も基本原理は同じだ p-17)…

教育と平等 大衆教育社会はいかに生成したか 苅谷剛彦 (2009) 中公新書

つまり、本来であれば、他の先進国と同じように、合理的・科学的に生徒一人当たりの単価費用を計算し、それに応じて生徒数を乗じて、教育費の計算と配分が行われなければならないと考えられていた。ところが、それが許されない厳しい財政事情のもとで、現状…

自信力が学生を変える 大学生意識調査からの提言 河地和子 (2005) 平凡社新書

だが今やっと学生たちの中に、よい授業を受ける権利を主張する層が生まれてきたように思う。(4)の加奈は、「〈大学生なんだから自分たちでやれ〉と言ってほっておく、あまりにも教育の形をなしてないです。学生をただ〈泳がせておく〉のはやめてほしい」と語…

大学の反省 猪木武徳 (2009) NTT出版

日本の大学院の場合、最初の数年は一般的に広く学ぶというスタイルを取らない、基礎訓練が薄い、社会科学では原典重視をしない傾向が強い。また歴史や哲学も、通史を書いたり、哲学史を若い人にレクチャーしたり、そして随所で古典を読むというような授業が…