自信力が学生を変える 大学生意識調査からの提言 河地和子 (2005) 平凡社新書

自信力が学生を変える―大学生意識調査からの提言 (平凡社新書)
だが今やっと学生たちの中に、よい授業を受ける権利を主張する層が生まれてきたように思う。(4)の加奈は、「〈大学生なんだから自分たちでやれ〉と言ってほっておく、あまりにも教育の形をなしてないです。学生をただ〈泳がせておく〉のはやめてほしい」と語っている。(第一章 大学生の実像 本当はもっと勉強したい p-42)
確かにこのような学生は一定数いる。彼らを十把一絡げに「ゆとられ世代だ」としているオトナたちが、学生時代に彼らほど勉強しよう、しなくてはならないという意識を持っていたのかどうか、ずいぶん怪しいと思う。一方で、いまの大学の先生も、どうやって「泳がせ」ずに教育したらよいか、そのスキルを持っている人は限られているのではないか。それを教える機運もシステムもなく、それぞれがOJTで苦労しながら少しずつ学んで「先生になって」いっている現状では、こうした学生に効果的に教育しようと思ってもその能力がない先生は大勢いるだろう。どこに解決の糸口があるのか、やはりみんながそれぞれに努力していくしかないのか、悩ましい。(2009年10月30日読了)