働く人のためのキャリアデザイン(2002)金井壽宏 PHP新書

働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)
二十代のころにはまだ難しいが、三十代、四十代以降になると、これまでの来し方を振り返ることが出来る。今までやってきたこと、できたこと、できなかったこと、できたことがすごくうれしかったこと、できたけれどさほど感動しなかったこと、できなかったけれど落ち込まなかったこと、できなかったことが未だにくやしくてくやしくて仕方がないことなどを振り返る。振り返るとあらためて見えてくる方向感覚というものがある。(第6章 元気よくキャリアを歩むために p-259)
ただ、出来たか出来ないかではなく、それに対して素直にどう思ったのか、というところに着目する点に、なるほどと思う。簡単なことだが、このような区分で丹念にチェックすると、自分でも気づかない自分の思い、欲求といったものが見えてきそうだ。現代は世界が、社会が大きく変化する時期にさしかかっており、それとシンクロする形で節目の時期を迎えた人間は、深く自分のキャリアについて考えるべきだと著者は説く。このごろ集中的に読んでいる社会起業の話を見ても、社会が(あるいは少なくとも世界が)自分が「こうだ」と思っているものからかなり変わってしまっていることは言を俟たない。その新しい世界で自分に何が出来るのか。目の前にある仕事をただ、旧来どおりのやり方で片付けていていいのか、問い直さねばならない。まぁ、言われずともそう問うてしまうところが、自分の「コンピテンシー」なのだろうが。
(2009年8月8日読了)