「ザ・ベリー・ベスト・オブ『ナンシー関の小耳にはさもう』100」ナンシー関 (2003) 朝日文庫

ザ・ベリー・ベスト・オブ「ナンシー関の小耳にはさもう」100 (朝日文庫)
テレビの見方というか機能の一つとして「動物園的役割」というのもあるわけである。檻の中の変わった生き物を見物する楽しみ。たとえその生き物が、こちら側の利益になる何か(労働や芸)をするわけではなく、ただ遊んでいるだけであっても。そう考えるとこういうテレビの状況にも説明はつくかもしれない。しかし、ここでもう一度「動物園」というものを考えてみると、見世物に値する動物とそうでない動物があるのである。(浜田雅功 発言 p-333 )
優しい人なのだと思った、という柳田充弘氏の評を読んでチョイス。いわゆる芸能ネタへの評論で、それ自体はどうということのない読み物なのだけれども、社会学者であるかのような視点の鋭さと、衆目にみっともない姿を晒してでも生きる人たちへの優しい眼差しが同居する。話の展開のさせ方が独特。「稀代のコラムニスト」の名に偽りなし。(2010年9月12日読了)