「乗り移り人生相談 ―柴田錬三郎・今東光・開高健、降臨!!」島地勝彦 (2010) 講談社

乗り移り人生相談 -柴田錬三郎・今東光・開高健、降臨!!
大僧正はよく「極上の暇つぶしをしなくてはあかん」とおっしゃっていた。そういえば、「人生は誰と出会えるか、その積み重ねでしかないんだよ」という言葉もよく聞いた。このひとの言葉をもっと聞きたい、その考えをもっと深く知りたい、そう思える人とどれだけ出会えるかが大事だと思う。そのためには、面倒なことを避けていてはダメなんだ。誰かと知り合い、親友になる、あるいは恋人になるためには、時間も労力も金もかかる。ぶつかり合ったり裏切られて傷ついたりすることもあるだろう。だけど、それらをちゃんと受け止めなくては極上の暇つぶしは出来ないんだよね。(「どうせ人生は冥土までの暇つぶし、だから極上の暇つぶしが必要だ」 p-48)
「根本教典」に続いてこちらも。なんだかあからさまにスゴイ話もあるが、所々に含蓄のある言葉が並ぶ。こうした経験に裏付けられた「人生知」というようなものは貴重では? 男は、女は、人は、いったい何を考えて生きるのか。勉強になる。こうした人生観の向こうには、死が見えているだろう。終わりが分かっているから、それまでをどう過ごすべきかを真剣に考えるわけだし。人生の折り返し点が近づくにあたって、与えられた場で期待以上のパフォーマンスをすることだけを目指してきた人生から、その場を自ら拡げていく人生へと、遅ればせながら参戦していこうという気持ちにさせられる。何より、このようにカッコよく語れる大人になりたいと思う。(2010年9月9日読了)