「社会学入門 をどう捉えるか」稲葉振一郎 (2009) NHKブックス

社会学入門 〈多元化する時代〉をどう捉えるか (NHKブックス)
モダニズム」とはあえていうなら、近代の「自意識」です。「自意識」という日本語が一番簡単に使われる文脈は、そう「自意識過剰」ですよね。「モダニズム」という言葉で指し示されるもの、「モダニズム」の潮流に位置づけられる芸術作品や研究業績を特徴付けるのは、こういう「自意識」です。社会学とは、いわばこういう「自意識」の所産ではないか。これからのお話はつまりは、そういうことです。(第7講 モダニズムの精神 p-115)
なるほど。言われてみればそうなのだけれど、はっきりと指摘されたのを読んだのは初めて。こうして一つの枠組みを平易な言葉でゼロから立ち上げて解説するというのは、まさにパンキョーに求められたものだったろう。そうした解説に重きが置かれるようになったのは、最近のことのように思う。今の大学生は恵まれていると思うが、むしろそれに応えられるだけの学力を初等〜中等教育で用意されているかの方が問題かもしれない。(2010年7月25日読了)