「ウイスキーの科学」 古賀邦正 (2009) 講談社

ウイスキーの科学―知るほどに飲みたくなる「熟成」の神秘 (ブルーバックス)
「飲酒は二十歳を過ぎてから」というまでもなく、エタノールの味もまた、“大人の味”だ。面白いことに、基本味として認知されていない「辛み」「渋み」「アルコールの味」はいずれも“大人の味”であり、痛覚などの侵害受容器を介して知覚される「痛み」を伴う味なのだ。
よくもまぁこんな専門的な話を文庫にしたものだと思うけれど、そこがブルーバックスウイスキーの成分の話など、見たこともないような構造式のオンパレードでちょっと笑ってしまう。しかし、結局ウイスキーというのは樽の成分を溶かし込んだ酒なのだということや、エタノールは水と混ざっていないらしいといったところは勉強になった。この国ではそのうち酒がタバコと同じような運命を辿るのではないかと危惧しているのだけれど、“コドモの味”しか分からないオトナばかりでは、仕方のないことなのかもしれない。(2012年11月23日読了)