「知る悲しみ やっぱり男は死ぬまでロマンチックな愚か者」島地勝彦 (2011) 講談社

知る悲しみ やっぱり男は死ぬまでロマンティックな愚か者
しかもわたしは「じつはおれはガンなんだ」と思わずいうところだった。その一言はぐっと我慢した。そのあとわたしはベッドのなかで悔やんだ。「なんであいつにハンディくれなんていったんだろう。おれのダンディズムが許さない。シバレン先生、ごめんなさい」と後悔して、わたしはベッドのなかで輾転反側した。(迷ったときは己のダンディズムに問いかけろ p-188)
イヤなことがあったときは"シマジ先生"の本を開いてみる。いったいオトナの男はなにを矜持とすべきかということがテーマなのだと思うけれど、それは社会の中で無難に小さく小賢しく振る舞うことではないことを(無責任に)説いてくれる。モルトやシガーは単なる遊びではなくて、物事には本質があり本物があることを思い出させてくれる小道具なのではないか。いちど本物を知ってしまうと偽物に満足出来ないのは、モノでも人間でも同じである。(2012年11月10日読了)