「読むので思う」荒川洋治 (2008) 幻戯書房

読むので思う
この七二段の原文は、正味一〇四字。激動中世の古典は、当時の人のいのちのように短い。数えてみて、おどろく。「方丈記」全文は、四〇〇字詰原稿用紙で、二十二枚半。「歎異抄」は二九枚。たったこれだけのことば数なのに、不滅。いまも読みつがれる。(数えてみれば p-10)
「○○枚書き下ろし!」という惹句自体をとんと見なくなってしまったけれども、確かに。エッセイのような評論のようなで、ものの見方に学ぶというより、そのやや癖のある文章を味わう時間を楽しむといった趣の本。そういえば、そういった読み方をする本を、もう長らく読んでいなかった。確かに、「読ま」なければ「思わ」ない。本を読まない人間というのは何を思って生きているのか、残念ながら私には想像がつかない。いやもちろん、それはそれでいろんなことを思っているのだろうけれども。取り上げられている本の中からいくつか読んでみたい本を選んだ。(2010年7月4日読了)