「言い寄る・私的生活・苺をつぶしながら」 田辺聖子 (2010 初版は1974、1976、1982) 講談社文庫

言い寄る (講談社文庫) 私的生活 (講談社文庫) 苺をつぶしながら (講談社文庫)
 男女の機微や人生知といったものがこれほど詰め込まれた小説を知らない。圧倒。三巻目の解説で津村記久子という作家が書いているように、ある種の「女の子のすべて」がここには書かれているのかもしれない。男とは何か、人生とは何か、いかに生き、いかに死と向き合うのか。彼女は理屈ではなく感覚的に、実際的に、正しく判断して生きていける。男は彼女のことが分からないが、女ははるかに彼のことを見抜いている。その鋭い洞察を少しは学ばなければ、同じ地平に上がれそうにない。まだまだ知らないことが多すぎるなぁ、ということを痛感させられる。(2011年9月20日読了)