「本の魔法」 司 修 (2011) 白水社

本の魔法
漱石が、ものを書き、一冊の本にしたときに、編集者や装幀者や装画家がいて、本の全体を構成していき、そこにしかない書物の雰囲気をつくりだし、完成されたのだから、全集になって文字だけが並んでいるのを読んだだけでは、難解とされるだけだ。(肌 「なつかしい本の話」江藤淳 p-89)
一昔前の文学者との交流が語られる、というもので、それも名前は見知っているけれど、読んだことないというものが大半。こんな世界もあったのだなぁ、みたいな印象。しかし、だいたい本は可能なら文庫で買ってしまう人間にとって、上のような考え方(江藤淳の述懐である)は目から鱗。いくつになっても、新たに気付くことは尽きない。(2011年9月2日読了)