「愛と情熱の日本酒」 山同敦子 (2011 増補版  単行本は2005) ちくま文庫

愛と情熱の日本酒 魂をゆさぶる造り酒屋たち (ちくま文庫)
酒の評価基準に普遍的なものはなく、極論すれば、あるのは好き嫌いだけ。その蔵元の原料の選び方、造り方や味わい、保存の仕方やラベルデザインまで、結局のところは飲み手が、その蔵の姿勢を好きか、嫌いかではないか。(p-279 第九話 「磯自慢」寺岡洋司)
それを言っちゃぁオシマイよ、というコメントだが、あるレベル以上になると究極的にはそういうことだろう。だからこそ1000を超える蔵元のそれぞれに、実は生き残る道があるのではないか。文庫化にあたって「その後」を増補したり、データを新しくしたりと、著者の誠実さが伝わってくるような本。最先端の蔵元が何を考えているか、というのが分かって勉強になる。そして、それを育てる酒屋の大切さも。(2011年9月7日読了)