「君主論」 マキアヴェリ 池田 廉 訳 (2002) 中央公論新社

新訳 君主論 (中公文庫BIBLIO)
さて君主は、戦いと軍事上の制度や訓練のこと以外に、いかなる目的も、いかなる関心事も持ってはいけないし、またほかの職務に励んでもいけない。つまり、このことが、為政者がほんらいたずさわる唯一の職責である。(十四 軍備についての、君主の責務 p-86)
この歳になると、名著と呼ばれるものもちゃんと読んで/読み直して/読み込んでいかねばならない。それが可能なのは、最近はいろんな本についてちゃんとした(苦笑 日本語で編まれた新訳が出ているからだろう。凡百のビジネス書にあることは、すでにここに書き尽くされているのではないかと思える、含蓄のある警句の宝庫。解説もしっかりしていて、「冷酷非情な為政のすすめ」といった評価が、後年のいわれなきレッテルに過ぎないことを明らかにしている。現代人の目から見れば、きわめて真っ当な人間観だが、それを500年前に書いたところがものすごい。(2012年12月26日読了)