「若者を殺すのは誰か?」 城 繁幸 (2012) 扶桑社新書

若者を殺すのは誰か? (扶桑社新書)
新成人の数は2012年で122万人とさらに落ち込んでいるから、この先、新人はさらにバカになり、国内市場はさらに縮小するだろう。そういった構造にメスを入れることなく、ただ「最近の若者はバカになった」で片付けようとする中高年を見ると、つくづく日本人もバカになったなと痛感する。彼ら無能な中高年のリテラシーと生産性の向上こそ、日本経済復活のカギだ。(第一章 ますます拡大する世代間格差 p-37)
明らかに時代はどんどん変わっているのに、社会のあり方なり、仕事のやり方なりが全然変わらないというのは、おかしなことのはずである。それでいいんかいなと思うことは日常的にあるけれど、この人の本を読むと、おかしいのは自分ではなくて、変わらないありようの方なのだと勇気づけられる(読んでいる間は)。不易な部分と変えねばならない部分とを仕分けるには「見識」が必要だろうが、それを備えたオトナが見あたらない。そのバカの起源は少子化ではなく、単に彼らが頭を使ってこなかったからだろう。(2012年12月23日読了)