「ウイスキーシンフォニー 琥珀色への誘ない 増補改訂版」 嶋谷幸雄 (2003) たる出版

ウイスキーシンフォニー―琥珀色への誘ない
我が家の正月酒はウイスキーが中心である。入社直後のワインを仕事としていた時代はワインが中心であった。酒の内容は変わったが「ハレ」の日に神に豊作を祈り、神と酔いを共有した昔の人と精神は少しも変わっていないと思っている。酒造りを職としてきた人間の信仰心である。(第4章 ウイスキーをたのしむ)
雑誌連載をまとめたもので、それらしい感じだけれど、山崎蒸留所に長年勤め、白州蒸留所の立ち上げにも関わった著者の言葉には重みがある。ウイスキーは蒸留からバッティングまで人為の部分の多いことが、そのイメージをだいぶん理知的なものにしていると思う。飲み手としては、それらを一人で研究することは難しいから、いきおいバーに行き、バーテンダーに頼ることになる。それらすべてがウイスキーの「オトナの味」を構成するのだろう。(2012年12月11日読了)