「アグリ・コミュニティビジネス 農山村力×交流力でつむぐ幸せな社会」 大和田順子 (2011) 学芸出版社

アグリコミュニティビジネス
ただし、単にブランドとか、付加価値を付けて大都市で高く売るという発想では、従来の消費偏重社会のビジネスと何ら変わらないと思う。生産者、消費者、地域住民、NPO、研究者、自治体などが連携し、多様な生きものが育まれる農地や環境をともにつくり、地域経済が豊かになるような仕組みをともに創っていくという視点が望まれる。(6章 農山村力×交流力でつむぐ幸せな社会 p-190)
LOHASを初めて日本に紹介したという著者による、ローカルへシフトしようとする様々な動きの紹介。「アグリ・コミュニティビジネスの始め方」という章には、立ち上げの心得まで書いてある。教科書的にまとめてみましたという内容だけれど、そこまでガイドするかという点にインパクト。しかし、本書でより重要なのは上の一文だと思う。6-70年代の反体制的な態度に絡め取られることなく、きわめてスマートでスタイリッシュに、消費偏重社会を超克するようなローカルシフトを実現できるかどうかが問題。それは、かなり頭の良さを要求される仕事だと思う。(2012年7月27日読了)