「セーラが町にやってきた」 清野由美 (2009 単行本は2002)日経ビジネス文庫

セーラが町にやってきた (日経ビジネス人文庫)
それを考えると、会社に『存在感』という付加価値を与え、それを高めていくこと、という新しい基準に行き着くんです。『あの会社があると世の中が明るくなる』『楽しくなる』。表現は簡単ですが、人々にそう思われ、語られることが、二十一世紀には、企業の大きな存在理由になっていくはずです。(第七章 社員そして取締役 p-159)
というのは社長の談だが、本は桝一市村酒造場のセーラ・カミングス氏の話。エピソードを読むと、ある種全くバランスの取れてない天才系の人な気がする。いまやバーやイタリアンレストランができ、土建屋まで率いて、界隈を丸ごとデザインしようとしているようだ。現状を変えるためにはここまでパワーが必要かと思うと、ちょっと尻込みしてしまうが、現代社会でひとりの人間にどれだけのことが出来るかを示している、という意味では勇気づけられる話でもあろう。木桶による酒造を復活させるというのもすごいが、やってる酒蔵のリストがなかなかに興味深い。(2012年7月10日読了)