「夜中の薔薇」 向田邦子 (1984 単行本は1981) 講談社文庫

夜中の薔薇 (講談社文庫)
男のやさしさは、袷仕立てだと思います。女のやさしさは、何といったらいいのでしょうか、女と生まれた義務のようなものとか、小さな自己陶酔があるだけですが、男のやさしさには、人間としてのかなしみやはにかみの裏打ちがあるように私には思えます。(女を斬るな狐を斬れ p-251)
そういう大人になりましょう。理知的な感じのする、好き嫌いの分かれる著者なのかも知れないが、この人の文章にこそ、その裏に「かなしみやはにかみ」が貼りついているように思える。(2011年12月23日読了)