「男の作法」 池波正太郎 (1984 単行本は1981)新潮文庫

男の作法 (新潮文庫)
それで、稽古をしているときに、多勢の役者がぼくを見る目で自分が分かるわけだ。目つきで。彼らがぼくをどういうふうに見ているかということがいろいろわかる。それがためになるわけなんだ。自分じゃなかなか自分というものがわからないでしょう。そういう機会に初めてわかるわけですよ、自分という人間が。(目 p-26)
昔のひとがどのように物事を考えたか、ということを知ることは、時にきわめて勉強になる。衣食住から「男をみがく」といったことまで、縷々語られる内容をまとめたものだが、たとえば男と女の役割といったことについて、一概に「古い」と断定してしまえないところが面白い。果たして我々の考え方というのは何も進歩していないのではないか、以前からある「これ」で良かったのではないか、と思わされる。(2011年11月5日読了)