「プリンセス・トヨトミ」 万城目 学 (2010 単行本は2009) 文春文庫

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
「それは父の言葉だからだ、松平さん」(p-471)
 その「秘密」が存外周知の事実らしいので拍子抜けするのだが、なかなかに楽しい。大がかりに舞台は回るけれど、決して内戦になったりはしない脱力加減とテキトーさ。それはそのまま大阪の本質に通じている。トーキョーと一緒にこの国が放射線の淵に沈むのを阻止するには、やはり全国の「大阪国」に立ち上がってもらわねばならないのではないかと思う。(2011年6月9日読了)