「四畳半神話体系」 森見登美彦 (2008 初版は2005年) 角川文庫

四畳半神話大系 (角川文庫)
 人から勧められて何年かぶりにまとめて小説を読むことになった。フィクションを読まなくなって久しかったわけだけれど、それは「作り物」につきあう気持ちの余裕がなかったから。物語られるとは「騙られる」ことでもあり、勧めてくれたことでしばし騙られる気になれたということなのだろう。しかしいかんせん免疫がないものだから、力強いstory-tellingに引きずられて2回ほど駅を乗り過ごす羽目に。「騙られる」ことはそれだけの素直さを要求する。自分の中にそうしたものがまだちゃんと残っていたことが嬉しい。(2011年3月2日読了)