「二列目の人生 隠れた異才達」池内 紀 (2008 初版は2003) 集英社文庫

二列目の人生 隠れた異才たち (集英社文庫)
中学生は、その齢ごろ特有の鋭敏な感覚で、目の前の人が「ただの人」でないことを感じ取っていたのではあるまいか。とにかく何かがちがう。全身にそんな雰囲気があった。大人たちの間ではめったにないもの、生活とまるきりかかわりがなく、しかし、それがないと、とたんに生きているのがツマラなくなる何か―根源的な無邪気さ、あるいは無心、純粋さ。(島 成園 p-32)
「第一人者」になり得なかった人たちの評伝。しかし本当は、世の中の一人ひとりが、それぞれに「異才」を放っているのだと思う。その中で、型にはまらずにいられること、自分にはもっと何かが出来ると思い続けられることが、「列」の前の方とそれ以降を分けるのかもしれない。それもまた、ひとつの立派な才能なのだ。(2011年2月19日読了)