国をつくるという仕事 西水恵美子(2009)英治出版

国をつくるという仕事
「アマはいつでもあなたと一緒に仕事をしていると思って、励むように。アマより貧しい、不幸な人たちのために」(殺人魔[インド]p-225)
 驚いたことに、ここではパキスタンムシャラフ前大統領は極めて立派な人物であるとされている。メディアはしばしば、「クーデターで政権を握った軍人」といった、表面的なことでしかものを見ないのかもしれない。また、ここにあるように、後進国において劣悪な状況に置かれた、無識字でさえある人たちが、極めて高潔な、立派な人たちであることにも考えさせられる。世界は進化して、先進国はさらによい社会へ、後進国は民主的な真っ当な社会へと、すこしずつ変化している。変化を直接感じるのは難しいかもしれないが、それでも地球が動いているように、それでも世界は日々、先へ進んでいる。自分だけ、この国だけ立ち止まっていては取り残されることを、銘じておかねばならない。
この英治出版という会社は面白い。「社会起業」関連でも名前が出てくるが、そうした「進化した社会」の旗振り役を自認しているように思う。
(2009年10月3日読了)