イデオロギーとしての技術と科学 ユルゲン・ハーバマス(2000 翻訳初版は1970)平凡社学術文庫

イデオロギーとしての技術と科学 (平凡社ライブラリー)
研究、技術、経済、管理の自動化されたシステムを前にしては、技術的生活条件に対する社会の支配可能性の問い、つまり、技術的生活条件を生活世界の実践にどう統合するかという問いは、新たなヒューマニズムの要求する教養豊かな問いではあるが、絶望的に時代遅れと見える。そのような観念は、技術的な国家においては、せいぜい、「物的必然性からしてどっちみち生ずることを動機の面から操作する」のに役立つだけである。(技術の進歩と社会的生活世界 p-131)
最後の方はとばし読み。かなり難解だがそれだけではない気がしていたら、あとがきを見て納得する。「あらためて原書と訳文を付き合わせて読んでみて、訳文の生硬なのに驚いた。(訳者あとがき p-211)」というのである。典型的な悪い翻訳の哲学書で、原文を読んでないと意味が分からないのでは。
ただ、ところどころで筆者の思想を汲めるところもあり、そのプラグマティックな考え方を確認できたと思う。ウェーバーとか、マルクーゼを読まなくてはならない。(2009年9月読了)