ポスト戦後社会 吉見俊哉 2009 岩波新書

ポスト戦後社会―シリーズ日本近現代史〈9〉 (岩波新書)
同様のことが、八十年代、多くの日本の都市でも起こっていった。つまり、ディズニーランドが映画のスクリーンの三次元化としてあったのと同じように、現代日本社会における日常的現実も、次第にメディアによって提示される平面的な世界の拡張として経験されていくようになっていった。(第2章 豊かさの幻影の中へ p-61)

「いま」の「歴史」をまとめた本にはなかなかお目にかからないが、自分が生まれるしばらく前から現在にかけて、この社会がどのような流れで来ているのかを知ることは、いまを生きる上で大事なことだ。「学校」で学ぶ「歴史」とは本来、現代社会をこれから作っていく立場にあり、また、それだからこそ過去を知らない者のために、そうした視座を与えるためのものであってしかるべきだと思うが、そんなことはもちろん隠蔽され、忘れ去られるのだ。
(2009年6月読了)