プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか? メアリアン・ウルフ(2008)インターシフト

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?

スペイン語や日本語、ロシア語を話す"理想的なひざ"の上で育った子どもたちにとっては、英語の読み方を学ぶのはそれほど大変なことではないし、英語の物語の本を読み聞かせてもらっていれば、自分の母国語のなじみ深い単語や概念を第二言語のそれと結び付けるのに役に立つ。(第4章 読字の発達の始まりーそれとも、始まらない? p-161)

一部でずいぶんと評が良かったので期待した本だが、それほどでもなかった。子どもがどのようにして文字を読めるようになるか、その過程で脳にどのようなことが起こるか、ということがメイン。そこから引き出される教育論は極めて守旧的なもので、「読み聞かせが重要」とか、「超早期教育は逆効果のこともある」とかに終始。驚きはない。そうした年寄り好みのアイデアを科学的(たぶん)に裏付けるという点で賛同を得ているのではないかと勘ぐってみる。翻訳も、ひどくはないがあまりこなれていないし、どうしてこれが帯にあるほど絶賛されているのか分からない。

しかし、ここにあるように多言語で子どもに読み聞かせるとどうなるかには興味が湧く。お母さんは日本語で、お父さんは英語で、みたいな。
また、母親が元気なうちに、自分がそうしてもらったように、自分の子ども(彼女の孫にあたる)にもまた読み聞かせをしてもらえたら、どんなにいいだろうかと想像した。まぁ、絵的に幸福っぽいゾ、と思っただけだが。
(2009年6月9日読了)