多読術 松岡正剛 2009 ちくまプリマー新書

多読術 (ちくまプリマー新書)
自宅の書斎や応接間にあまりに本が多いので、「いつ、これだけの本を読まれるんですか」とうっかり尋ねたんですね。そうしたら、下村さんはちょっと間をおいて、「君はいつ食事をしているかね」と言われた。これでハッとした。いえ、しまったと思った。もう、その先を尋ねる必要はないと思いましたね。(第六章 キーブックを選ぶ p-141)

学生が研究室の書架に寄贈してくれた本。気晴らしにオンラインで注文するのでどんどん増えていく私物の本を、家に置いていてもしょうがない(というか置き場所がない)ので研究室の書架に開架していると、真似する子が出てきた(w。狙った以上である。彼らの多くはもう、家の至る所に書棚があって、文学全集や百科事典や岩波文庫がぞろりと鎮座している、というような光景を見たことがないだろう。「目の前にいる人間+それが最近読んでいる本一式」をセットで見せることで、何かを示すことが出来るのではないだろうか。
下村寅太郎という科学哲学者と著者との会話から。格好いい。まさにその通り、本とは食事をするように読むものだろう。全体としては松岡氏の読書法を開陳した本で、面白いが、真似をしようとは思わない(w。あぁそういう読書の仕方もあるんですね、という感じ。
(2009年5月22日読了)