調べる技術・書く技術 野村 進 2008 講談社現代新書

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)
自分の書いた文章を読み返すときには、必ず声に出して読むこと。黙読した際には「このままでよい」と思えた文章でも、声に出してみると、つっかえたり言いよどんだりするものだ。そのときには、ためらわずに書き直す。(第五章 原稿を書く p-148)

基本的なことではあるが、これはまねしたい。
著者が学生だった頃は、さまざまな物書きの人がそのノウハウや哲学を披露した本があったのに、近頃はそうした本が出なくなって、技術や「常識」が伝達されなくなっている、ということが執筆動機の一つとしてあげられている。これは私が普段感じている、この国ではどうもここ数(?)世代のあいだ、教えるべき者、バトンを次に手渡すべき者が、きちんと後続の者にものごとを教えてこなかったのではないのか? ということと通じる。若い人と接してすぐに気が付くのは、「いろんなことを教わってきていない」ということである。「イヤ、オレらは教えられなくても自分で気が付いたよ」と言う向きもあるかも知れないが、それは「教えなくても分からせる」だけの力量を、上の世代や我々を取りまく社会が持っていたからではないのだろうか。
(2009年5月読了)