日本人の英語 マーク・ピーターセン 1988 岩波新書

日本人の英語 (岩波新書)
先行して意味的カテゴリーを決めるのは名詞でなく、aの有無である。そのカテゴリーに適切な名詞が選ばれるのはその次である。もし「つける」で表現すれば、「aに名詞をつける」としかいいようがない。「名詞にaをつける」という考え方は、実際には英語の世界には存在しないからである。(鶏を一羽食べてしまったー不定冠詞 p-12)

いつも出来るだけ多くの英文を読むことで、なんとなく「このように言うものだ」ということを覚えておくようにしているのだが、この本では英語を使う人間がどのようにモノを考えるかを日本語で具体的に説明してあり、そうした「何となく分かっていた」ことの裏に何があったのかを教えてくれる。冠詞の付け方や、Especiallyを文頭には使わないこと、thereforeもできるだけ使わないこと、など、これまでどう書くか頭を悩ませていたところをズバリ解説していてとても役に立つ。実際に本として「読む」ことのできる文法書、というのは発見。著者のそこはかとなくユーモアと皮肉の混じった文章も良い。
(2009年5月読了)