「世界一旨い日本酒 熟成と燗で飲る本物の酒」 (2005) 古川 修 光文社新書

世界一旨い日本酒 熟成と燗で飲る本物の酒 (光文社新書)
また、この低迷状態から脱出しようと、様々な商品開発も行われている。例えば、低アルコール濃度にしたり、ラベルをファッショナブルにしたり、ネーミングをロマンティックにしたりして、女性向けの商品を試作する試みなどが目立っている。しかし、これらの試みは、何故今日本酒が低迷するようになったのか、真の原因はなんなのかという本質を、正面から見据えることを避けているとしか思えない。
工学部の、その道では活躍されている先生のはずなのだが、日本酒についての造詣も相当。発酵プロセスをきちんとふまえておられるところなど、さすが理系と思わされる。「造りのしっかりした」日本酒の常温熟成を広く世に知らしめた点で、最も影響力のある人だろう。そのような酒は、長い歴史を持つ日本酒の正常進化の現在形だと思われるし、確かにこちらにこそ、日本酒がワインの真似ごとではない「世界の酒」としてやっていく道があるだろう。酒蔵は減り続けているのかもしれないが、力のある蔵にとってはチャンスは拡がっているのではないかと思う。酒税絡みで縛られた部分を規制緩和し、「分かっているひと」がどんどん新規参入すれば、大きく変わる気がする。イメージですが(w。(2013年1月7日読了)